コーヒー店に行くと、焙煎されたさまざまな銘柄のコーヒー豆がショーケースに並んでいますよね。その中に、ツヤツヤ・テカテカと光っているようなコーヒー豆があることに、気がついたことありませんか?
このツヤツヤ・テカテカ、「なにかはわからないけど気になってた」という方も多いのでは?
じつはこれ、コーヒー豆の油分「コーヒーオイル」と呼ばれるもので、添加物などではなく、もともとコーヒー豆がもっている成分なのです。コーヒー豆はアカネ科の常緑種「コーヒーノキ」という植物の種子で、それを精製、脱穀し、生豆にします。コーヒー豆も植物の種子なので、ごまのタネから作るごま油や日本でも古くから整髪などに使っていた椿油などと同じで、種子に油が含まれているのは不思議なことではありません。
植物にとって、種子に含まれる油分は、芽を出して自分で光合成をして成長するまでに、必要な栄養分なのです。
コーヒー豆の脂質は12%~20%程度。これが焙煎という工程を経ることで油分となり表面を覆い、コーヒー豆をツヤツヤにします。焙煎の段階が違うものを見比べてみると、焙煎度の深い(長い)もののほうが、よりツヤツヤでオイルが多そうに見えます。ですが、これは焙煎することでコーヒー豆から水分が抜け、焙煎度の浅い(短い)豆よりもコーヒーオイルの比率が高くなるからだそうです。オイルの量が増えたり減ったりするわけではないんですね。
コーヒー豆を挽いて粉にしたものを抽出すると、コーヒーにはコーヒーアロマなどとともにコーヒーオイルも抽出されます。カップに入っているコーヒーの表面に、コーヒーオイルが見えることがあるのはそのためです。
では、コーヒーオイルはコーヒーの味を左右するのでしょうか? 答えは“YES”です!
一般的に飲食物は、油分があるほうがコクを感じたり、味にリッチな印象を受けたりするといわれています。コーヒーも同じで、オイルが多く抽出されているほうがまろやかで甘みを感じるという理由から、好む人も多いのだとか。
ただ、これはあくまでも好みの問題で、すっきりしたコーヒーを好む方はコーヒーオイルが出ていないほうが、おいしいと感じるようです。
コーヒーは嗜好品ですからやはり最後は好みになる、というワケですね。
産地や銘柄、焙煎度、粒度(コーヒーを挽いたときの細かさ)、濃いめか薄めか。砂糖とミルクを入れるのか入れないのか。嗜好品だけに、コーヒーの好みは100人いたら100通りあってもおかしくありません。
コーヒーオイルも抽出方法によって、ある程度量をコントロールすることができるようです。●コーヒーオイルを少なく:ペーパーフィルター、カップオンタイプのドリップバッグ
コーヒーオイルをあまり抽出したくない場合は、ペーパーフィルターやカップに乗せるカップオンタイプのドリップバッグなどや、コーヒー豆を挽いた粉にお湯を通してコーヒーの成分を抽出する「透過式」という抽出方法が適しています。
ドリップしているときに膨らむ豆の上部に油分が残ることや、素材である紙がコーヒーオイルを吸着することから、コーヒーオイルは少なくなり、雑味が少ないキレのあるコーヒーが抽出できます。
●コーヒーオイルを多く:フレンチプレス、浸かるタイプのドリップバッグ
フレンチプレスは、コーヒーの粉がお湯に浸った状態で抽出する「浸漬式」という方法です。粉や紙にコーヒーの成分が付着せず、そのままダイレクトに抽出されるため、コーヒーオイルの量も多くなります。
BROOK’Sのドリップバッグのように、抽出したコーヒーに部分的に浸かる時間があるタイプも、「透過式」に較べればコーヒーオイルやアロマはより多く抽出されます。
ですが、微粉末や雑味が出ないよう工夫したフィルターを採用しているため、フレンチプレスと較べると少なめにはなります。
いずれにしても、料理などに使う油と一緒でコーヒーオイルも油分である以上、気をつけたいのが時間の経過とともに進む酸化。風味の劣化スピードを抑えるためにも、保存には気をつけて、おいしいコーヒーライフを過ごしてくださいね。
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