イギリスは言わずと知れた紅茶の国。片やフランスはカフェのテラスで飲むエスプレッソやカフェ・オ・レなど、コーヒーのイメージが強い国。
「フランスの人って紅茶飲むの?」そんな疑問から、今回は紅茶の本場イギリスとフランス、2つの国の紅茶事情に注目してみました。
イギリス人にとって紅茶は国民的な飲み物であり、文化でもあります。ほとんどの人が1日に何度も紅茶を飲む習慣があり、1人1日だいたい5杯くらいは飲むそうです。
ティータイムもアフタヌーンティーなどのイメージがあるため、ポットとカップ&ソーサーの優雅なティータイムを思い描きますが、実際は頻繁に飲むために生活の一部となっているので、私たちが想像するよりずっとカジュアル。
マグカップにティーバッグを「どぼん」と入れる簡単なものなんだとか。イギリス人にとって紅茶とは、なくてはならない必需品なのですね。
イギリス人にとって「Tea」とはミルクティーのこと。ミルクを入れた「Tea with milk」が一般的です。このミルクティーにもイギリス人ならではのうんちくがあり「紅茶が先か、ミルクが先か」を論点として、長い間ミルクティー論争をしています。
2003年6月に英国王立化学協会が、『How to make a Perfect Cup of Tea(一杯の完璧な紅茶の淹れ方)』というプレスリリースの中で「ミルクが先(Milk in First)」を推奨するとし、この論争に決着がついた!とメディアが色めきたったことがありました。
しかし、のちにそれは「紅茶が先」派だった作家の生誕100年を記念しオマージュした、王立化学協会の粋なジョークだったことがわかりました。
結局、未だにミルクティー論争は続いているようです。
フランス人がよく飲むのがエスプレッソ。近年の抹茶ブームがきっかけとなり、緑茶を飲む人も増えているという情報を耳にすることはありますが、紅茶となるとなかなかフランスとは結びつきませんよね。ですが、紅茶がフランスに伝わったのは本場イギリスよりもひと足早かったそうです。
それなのにフランスで紅茶が廃れてしまったのは、18世紀にイギリスが世界の紅茶を独占し、高値になってしまったのが原因とされています。その結果、フランスは紅茶からコーヒーへシフトしカフェ文化が発展していったのですね。
コーヒーを飲むカフェに対して、紅茶を楽しむのは「サロン・ド・テ」というおしゃれな喫茶店のようなところ。カフェとサロン・ド・テは住み分けされていて、サロン・ド・テでは、スイーツと一緒にポットの紅茶を飲みながら、日本での女子会のようにおしゃべりに花を咲かせながらゆっくり過ごすのだとか。
このように、日常的に紅茶を飲むイギリスに対して、フランスでは紅茶は嗜好品という位置付けのようです。
では、フランスで好まれる紅茶はどのようなものなのでしょうか?イギリスと同じくミルク?
じつは、フランス人が好むのは茶葉に花や果実、スパイスで香りをつけたフレーバーティー!フランス人が飲む紅茶の7割はフレーバーティーだそうです。基本的にフランス人は渋く濃いお茶が苦手で、軽めでまろやかな香りと味わいを好むそうなので、フレーバーティーはぴったりです。それに、フランスといえば香りの大国。“香水の都”グラース(Grasse)という都市は、世界的な香水の一大産地で、パヒューマーと呼ばれる調香師も数多く輩出しています。
子供の頃から両親に香りの教育(付け方のマナー、自分に合う香り)を受けるなど、香り文化が成熟している国フランスで、香りを楽しむフレーバーティーが好まれる理由もよくわかりますね。
おいしい紅茶を飲みながらほっとするティータイムのひととき。両国の紅茶の歴史や伝統に思いを馳せながら、優雅に紅茶の世界で遊んでみませんか。
イギリスの人って、コーヒー飲むの?
Posted at 2019.01.28 by serow225