2017
12/7
ファッションというと洋服や靴、バッグなど、身につけるものを指していると思われていますが、本来は『ある時点(時期)において広く一般に受入れられ普及した、社会現象や生活様式などのすべてを含む流行の様式・スタイル』という意味です。今回はいつものBOBとちょっと趣向を変えて、ファッションという面からみた古今のコーヒーについてのお話です。
現代では、いわゆる“シアトル系”や“サードウェーブ”と言われるコーヒーショップのカップを持ち歩くことや、SNSに投稿することもファッションとしてのコーヒーのひとつとなっています。またここ数年夏には、水出し珈琲の“コールドブリュー”をオシャレなマイボトルに入れ、それをオフィスのデスクに置いたりバッグから覗かせることが流行ったのも、記憶に新しいところです。
では、昔のコーヒーとファッションの関係はどうだったのでしょうか?
日本でコーヒーが飲まれるようになった1920年代(大正後期~昭和初期)に、「モガ・モボ」という言葉が生まれました。それぞれモダンガール、モダンボーイを略した言葉で、西洋文化の影響を受けて、新しい風俗や流行を取り入れた若者達のことを指した言葉です。
モガはダンサー、ショップガール、電話交換手などの新しい職業につく女性で、ファッションも断髪、眉を剃ったり抜いてから眉黒(まゆずみ)を引く「引眉(ひきまゆ)」をし、縞(しま)の洋服、ショートスカートをはくのが特徴。
一方、モボのファッションはオールバックにセルロイド製で縁が太めの丸レンズ「ロイド眼鏡」、派手なネクタイ、セーラーズボンが特徴で、キザな青年を指しました。
そんな流行の最先端をいく「モガ・モボ」を夢中にしたのが、コーヒー。
コーヒーがまだまだめずらしかった当時、モガ・モボにとって、流行発信地である銀座のカフェでコーヒーを飲むことはステータスであり、非常におしゃれでかっこいいカルチャーだったようです。
みなさんもよくご存知の「銀ブラ」という言葉は、このような「モガ・モボ」やおしゃれや流行に敏感で裕福な私学の大学生が、カフェの行き帰りに銀座の街をブラブラ歩く様子が語源とも言われています。
嗜好品の飲み物であるコーヒーですが、このようにその時その時、時代のファッションを語るうえでキーポイントでもあったのですね。次はどこからどのような形でコーヒーがファッションと関わるのでしょうか?楽しみですね。