食や伝統芸能をはじめとした「日本文化」は、国内のみならず今や世界中でたくさんの人々に愛されています。今年2月には、文化庁が茶道と盆栽をユネスコ無形文化遺産登録すべく申請を検討している、というニュースがありました。
盆栽は草や木などの生きた植物を素材にして、自然の美しさを表現するものです。最近は「ミニ盆栽」という、テーブルの上に置ける小さなサイズのものも登場し、気軽に始められると人気を集めているようです。
盆栽は今「BONSAI」として海外でも人気があり、日本で行われる盆栽の世界大会には、海を越え各国から多くの外国人が訪れるそうです。
海外からも「日本の文化」として愛されている盆栽ですが、じつは発祥は日本ではありません。古くは中国で行われていた「盆景」という伝統芸術が、平安時代に日本へ伝わってきたのが始まりと言われていて、その後も趣味として日本人に愛され続けたことから、文化として根付いたようです。
一年中緑が楽しめる松など、常緑樹のイメージがあるため意外に思われますが、「盆栽鑑賞」は秋がいいと言われています。なぜ芽吹く春じゃなくて秋なのでしょうか?
それは、秋に樹木が充実して、手入れの成果が目に見えたり、わかりやすくなる時季だからです。
色鮮やかな四季を楽しめる落葉樹は見頃を迎え、もみじや楓は紅葉し、カリンや梅もどきなどの実物類は実が生り、落葉樹葉が落ちて樹の形や幹の景色をじっくり鑑賞できます。気候もいいので、鑑賞する場所を縁側や茶の間に移すのも、秋だからこそできる楽しみ方の一つですね。
同時にユネスコに登録申請が検討されている「茶の湯」も、盆栽とは浅からぬ関りがあります。茶の湯(茶道)は日本庭園と密接な関係があり、伝統的な盆栽は茶道などと同じく“ひとつのスタイルを学ぶ”という形(カタ)の芸術でもあります。
盆栽には「本来は大きな樹木を小さな盆栽に仕立てて、その世界の中の季節や年月を鑑賞する」という、大きく広いものを小さく凝縮する「見立て」という考え方があります。茶の湯にも、本来は茶の専用道具ではない生活用品や身近なものを、茶道具として「見立て」転用して使う独自の美意識や遊び心があります。
『何かを表現したい時にそれをそのまま描くのではなく、他の何かを示すことによって表現する』という考え方から生まれた「見立て」は、茶の湯と盆栽に共通してみられる、日本的な技法なのですね。
和食やBONSAI、茶の湯に“和の心”を感じて、文化や心に興味や関心をもってくれる外国の方が増えているのは、とてもうれしいことですよね。登録が実現すれば、和食に続き日本の文化は、ますます世界へ広がっていくことでしょう。
芸術の秋。ユネスコ無形遺産の登録申請をきっかけに、茶の湯や盆栽など日本の美しい文化に触れてみませんか?お茶の原料である「チャノキ」の盆栽を眺めつつ心静かにお抹茶を飲むなんて、とても風情があっていいかもしれません。
和食や日本アニメなど 海外の人に興味を持ってもらえると同時に、盆栽や茶の湯(茶道)の魅力も もっと知ってもらいたいですね!
私自身も盆栽・茶道に触れたいです♪
Posted at 2017.10.22 by パンサー