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2019
3/28

いまや桜の開花宣言を待ちわびている人は世界中にいる。
たった一週間の晴れ舞台を、たった数秒でも立ち止まって見上げることは卒業証書に似ているのかもしれない。
今年2月に100歳を迎えた祖母は、昨秋より施設に入った。
桜までがんばろうねと家族に励まされ、いちにち、一日を重ねている。
一方、桜が咲いたら一年生と娘は指折り数え、親としては遠い未来と思っていた季節に鼻の奥がぐっとくる。
今年は早い、今年は遅いなどと人々の会話も増える。
何を卒業してもしなくても、なんとなく遠い桜の記憶と重ねながら、また一年無事にすごせたことを桜の卒業証書に重ねたいと思う。

2019
3/21

最近「着物」というあたらしい趣味ができた。
今春、卒入学をする娘のタイミングに合わせて1月から始めた着付け教室。
母親が昔仕立ててくれた着物を着るために毎度の着付け代1万円を節約したかった。というのが正直なところではある。
そんな理由なのでテクニックさえ覚えてしまえばと思っていたのだけど…。
いやいやこれがドはまりでして。先生曰く日本人の血が騒ぐといいますか、楽しいのです。
着物は高くついて。と思っていたけどネットには中古着物を販売する丁寧なサイトもたくさんある。
世の中からもう3月!と聞こえてきても私はこの3か月で着付けを習得。と思うとなんだか得した気分になれる。

2019
3/14

まだ寒い雨の夕方。仕事場から急いで帰宅しようと歩道橋の上を早足であるいていると、眼下に木蓮の並木があることに気が付いた。
春の寒い雨に降られながら白いつぼみが大きく膨らんでいた。
一年前も同じ場所で同じ感情になったことを思い出し、一年の経過を思った。
自宅最寄り駅に着くと、小道を曲がったところで沈丁花の匂いが鼻腔をかすめた。
これもまた一年前に、こんなところに沈丁花かと小さな驚きを覚えたのを思い出す。
ふと、先日友人が習い事へ向かう時間を一向に覚えない子供のために鳩時計を買ったと話していたのを思い出した。私もまた一年がかりの鳩時計のもとで生きているのだなと実感した。