ひとりで実家に帰省した。
高齢になりつつある両親に遠慮し、空港からはバスとタクシーで帰宅した。
いつも会話で埋め尽くされる空間も今回はひとり。大降りの雨も手伝って、なんだか傷心旅行みたいな旅路だった。
帰省すると写真を撮るのが楽しみ。
一人旅は誰もとがめる者がいないので翌日夕方、町が茜色になる時間を狙って車で写真を撮りに。植えられたばかりの稲と、深い緑の山に5月の夕陽が映る。
その中のあぜ道を学生服の少年が自転車をこいでいた。
ファインダー越しに確かに見たその少年の姿。目を閉じると遠い夢のように感じるのだから、旅ってやっぱり不思議な記憶。
今回をもちまして、shifonのぬけがけコラムは最終回となります。
7年にもの長きにわたりご拝読いただいた読者のみなさま、多くのアドバイスをくださったブルックスのご担当者のみなさまに心より感謝を申し上げます。
shifon 令和1年6月 初夏の横浜自宅にて