先日ある老紳士と会う予定があり、行きの電車で読もうと小説を1冊買った。なんでもない推理小説。目的地に着くまで数十ページほど読んでランチをしていたときのこと。
何を思われたのか、その老紳士が突然その小説家のその本の話をしだした。私は聞き間違いかと思いながらも、小説家の名前が一致したのでカバンから本を取り出して見せた。
老紳士は目を丸くして驚いた。なぜならその本の主人公がその老紳士だったのだ。名前こそ少しいじってあるけど、あとがきにはしっかりと老紳士の名前が書かれていたものだから、今度は私が目を丸くした。
日常にはいろんな偶然があるけれど、何千冊とある書店の棚から、その本を選んだ自分の心理を思い出しても、そこへつながる理由もなく、やっぱり縁って不思議だなと思った出来事でした。