先日姉の家にピアノの調律師が来た。お互い忙しく普段めったに電話もしないのにわざわざそれを言いに電話をかけてきた。
姉は覚えていなかったけど、姉が大学進学で実家を離れるときにもらった手紙の中には、ピアノの音がぼやけないように頻繁に弾いてほしいと書いてあった。
それを未だに覚えている自分にとっても調律師の存在はどことなく大きかったのだと思う。
年に一回やってくる調律師のおじさんは作業着を着ていて、無口で、子供の私にはわからないピアノの叫びをくみ取って修正してくれていた。
今回姉の家にやってきた調律師さんは音がきちんと治っているか確かめるために時々Jazzを弾いたという。無口な魔法使いのような調教師。狂った音を治す彼らは、家の中の波長すら整えてくれているのかもしれない。