通勤ラッシュの電車に乗るとつり革を掴むことすら至難の業。
特にドアのあたりに追い込まれると余ったつり革もなく、藁をもつかむ気持ちでドアの上部にはめ込まれたテレビモニターとのたった2ミリほどの段差にすがりつく。
この2ミリの溝の存在は大きい。
出産のとき、いきむのに掴むものがなくて電話線をひっかけるための両面テープで留められたフックを同じような気持ちで掴んだ記憶がよみがえった。
“2秒で恋に落ちる”などと、何かのコピーか歌詞で聞いたことがあるような気もするが、人のよりどころや心情は他者の本意とはかけ離れたところに存在する、機微のようなものかもしれないなぁと四面楚歌の電車内で思ったのでした。