横浜港の一角山下公園に静かに佇む「氷川丸」の姿は、横浜を代表する情景の一つです。
船名はさいたま市大宮の氷川神社に由来するもので、1930年に北太平洋航路の貨客船として就航以来、皇族や喜劇王チャップリンが乗船するなど豪華客船として活躍しました。

やがて戦争が始まると、病院船として徴用され、戦後は引き揚げ船としての役目も担いました。
その氷川丸も、1960年の出航を最後に引退。
一般公開されている現在は、貴重なアールデコ様式の装飾を持つ施設としても、訪れる人を楽しませてくれています。
ゆかりある氷川神社の社紋「八雲」をあしらった装飾もあるので、お出かけの際はお見逃しなく。
昨年、戦時中の対日資産凍結により長らく国外にあった氷川丸の精巧模型が75年ぶりに返還され、現在、横浜の「日本郵船歴史博物館」で一般公開されています。
機会があれば足を運んで、現在の氷川丸と見比べてみたいものです。

※写真では分かりにくいが、錨の鎖はユリカモメたちの定位置
小生国民学校3年の時「海軍病院船」という戦時高揚映画を観ました。その際撮影に使われたのが、徴用されていた氷川丸と戦後判明したそうです。山下公園に繋留中の実物を観に行きましたが、軍国少年時代を追慕し、感慨一入でありました。