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2017
5/25

早朝5時にネット通販で4着服を買った日の昼間。そんなこと知る由もないアパレル勤務29歳の綺麗な女の子が私のところへやってきて一枚の写真を見せた。
45センチ角のボックスにぎっしりと書類のように収納された衣類の写真。あまりに唐突だったので思わず「なにこれ?」と質問してしまった。すると彼女は「これが私が持っているすべての服です」と。どうやら先日あまり必要のないと思った服を処分してしまったらしい。
もう増やすのやめたんです、と。
それから数週間、私の頭の中にはその見せられた写真の映像が離れない。
私のタンスの中にはもう10年も着ていない服が山ほどある。ひとつひとつに勝手に思い出をなすりつけて、思い出を整理することすら拒んでいた私を思い知る。
久しぶりにガツンとくる出来事だった。
数日後、思い切って数十着をリサイクルショップへ持っていった。

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2017
5/18

ちょっとした用があって、独身時代7年間住んでいた街で途中下車した。
最後に訪れてから10年も経ってない、何年かぶりだと思う。
それなのに、降りた瞬間心臓がバクバクした。駅前のハンバーガーショップはパンやさんに代わり、角にあったドラッグストアはそのままだった。
学生時代2年間アルバイトをした和食やさんもそのままだったけど、挨拶に行く勇気はなかった。
最近なかったそのバクバク感に浸っていたくて、少し歩いてみることにしたけど、裏腹に今日街を散歩してしまったら、また数年はここでそんな気持ちになれないかもという考えも頭をよぎる。
それでも勝手に足は街を歩いていた。
街のOG(old girl)は思い出シーンで胸を膨らませながら、夕方の街をふらふらと歩いた。

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2017
5/11

紹介された人が、実は、道端で時々会う名前の知らない人だったとき、正式に挨拶をするというのも、少し違和感がある。
私は昨日、「ああ、よくお見かけする…」というフレーズを出し損じてしまい、はじめましてを貫いてしまった。
「いつもお見かけする…」というと、なんだかいつもジロジロ見ているみたいだし、昨日のタイミングでなくても挨拶するタイミングはあったはずなのに、今までしてこなかったのも恥ずかしい。
そうこうしている間に、はじめましての会話は進んでいき、既に知っていることにまで知らない振りをしなくてはいけなくなった。
でも実は相手も私と同じ気持ちだったのかもしれない。
だとしたら昨日の私たちの会話は市民女優ふたりのプリテンド(演技)だったのだ。

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